はじめまして

興奮冷めやらぬ中、東京の一角にあるホテルの布団から。

 

初めて萌歌ちゃんを生で見た。

初めてadieuの歌声を生で聴いた。

 

「こんばんは、adieuです」

一言の挨拶だけで震えた。

歌声はもちろん、一挙手一投足まで感動するポイントが多すぎて、何に感動したのかわからなくなるくらいだった。

 

adieuは客席にいる一人ひとりの顔を順番に見つめて歌を届けてくれた。決して大きくはないライブハウスに、決して少なくはない人数が集まって、曲の世界観と音楽に浸る幸せと少しの緊張感を共有した。

 

演奏はアルバムに収録された曲の中から3曲。

少し休憩を挟んでトークタイム。

 

名前というのは「世界」に入る鍵のようなものだと思っている。

萌歌ちゃんにとっては“adieu”が音楽の世界への鍵、“上白石萌歌”が日常を過ごすための鍵、作品で演じる様々な役名がそれぞれの人の人生を演じるための鍵。そんなイメージだ。

 

トークタイムで見せる表情は、さっきまでの“adieu”が見せてくれたのとは全く違う、“上白石萌歌”のそれだった。その鍵の使い分けはあまりにも自然だった。きっと本人は使い分けてるつもりなんかないのかもしれない。

自然さ、ナチュラルさ、というのは人を惹きつけ虜にするパワーがあって、それが遺憾無く発揮されていた。砕けた言い方をすると、ギャップ萌えが止まらなかった。

 

たった1時間弱の、数字にしてみれば短い時間だったけど、1人の色んな顔にさまざまな感情を覚え、尊敬と好きが深まった、濃密な時間を過ごせて本当に良かった。忘れられない日になった。

これからも音楽のある場所でお会いできたらと願ってやまない。