3年A組

「萌歌ちゃんが出るから観るか~」くらいで観始めたんですが、とても面白かったです。

柊先生の毎回のメッセージにも、生徒の成長にもすごく心を揺さぶられました。

特に最終回の演説は、1人の人間の叫びのように思えて、ドラマであることを忘れていました。

ドラマを観て考えたことについて、自分なりに書いてみました。

細かいストーリーなどは書いていません、あらかじめ。

 

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このドラマで描かれた立て籠もり事件の動機は、柊先生の元恋人の教師や教え子である水泳部員の人生を狂わせた事件にあり、彼女たちを追いつめていたのが、「SNS上の心無い誹謗中傷」、またそれを書き込んだ「ネットの世界の人たち」であることが最終回で明らかになった。

 

現代では、特に若い世代であれば誰もが利用しているSNS

Twitterの炎上動画などが尽きないことが報道されて止まないこうした時代に、「言葉が人を殺す」ということをストレートに伝え、SNSの使い方や言葉の使い方、人との関わり方を考えさせるというドラマが作られたことはとても大きな意味があると思う。

 

教師という設定を上手く使い、毎週「授業」という形で視聴者にメッセージを投げかけてくる脚本の"強さ"を感じた。

正直、脚本のメッセージ性が強すぎて、あれ程に演技力の高いと言われる俳優陣でも、「ドラマ」ではなく悪い意味で「メッセージを伝えるだけの場」のようになってしまっているなと感じたことも何回もある。

しかし、そういったことはあまり問題視されてこなかったように思うし、そのことは、脚本を書かれた武藤さんが何を描きたいのかということにみんなが惹きつけられていた証なのではと思う。

 

上辺だけで物事を見ないで本質を考える、グッと踏みとどまって自分の行動選択に誤りが無いか考える、「Let's think」という決め台詞にもあるように、「考える」ということが大きなテーマになっていた。

何を考えるのかという目的語が語られないことで、その思考の自由度を広げ、視聴者にもハッキリとしたメッセージではなく、色々なことを考えて出した答えが、このドラマから受け取ったメッセージになるという構造になっていた。

最終回のお知らせの時に誰の言葉だったかは忘れてしまった(確か菅田さんだったかな)が、「あとはみなさんのものです。」というようなコメントを書いていた。

本でも結末をハッキリ描かないで、読者の想像に委ねるという手法が使わることがあるが、同じくあのドラマも視聴者の数だけ受け取り方がある。

というわけで、ここから自分の考えたことを書いていきたいと思う。

 

柊先生が立て篭もったこと。

全国民を煽りに煽り、注目をさせることで、あの演説を行う準備が出来た。

何をするにしても「準備」が必要で一番大事なんだということを最近考えていた私にとって、素直にすごいと思えた。

でも、あんな事件じゃなくてもっと日常においても、準備は大事だと思う。

 

「あしたは何しよう」と考えて、着る服や出かける場所、何時に家を出て何を食べよう、買うものはどうしようと色々考えを巡らせて翌日を迎えれば、きっとゆとりのある楽しいステキな1日になるだろうし、逆に何も考えずにいると、朝を迎えて「今日は何をしよう」と考えながら1日を虚無的に過ごしてしまうなんてことも珍しくはないだろう。(私は圧倒的に後者が多いが、今はそれでも構わないなと思っているし、前者がいかに素晴らしいことかは想像くらいはできる。)

 

幸せの形は人によって違う。上記のように、休日を充実した予定で埋め尽くしたい人もいれば、(今の私のように)休日は誰にも会わずゆっくり過ごしたい人もいる。仕事が大好きな人、人と話すのが好きな人、スポーツをするのが好きな人、旅行が好きな人。

色んな人がいて、それぞれがそれぞれの場所で幸せを感じている。(中には何に幸せを感じるかわからない人もいるかもしれないが。)

良い意味で、人は自分とは違う、ということをきちんと認識し、考え方や嗜好が合う人とは仲良くしたらいいし、違う考えを持つ人と出会ったら、その人の話を絶対に否定せず聞いてあげる。これもまだ出会ってない人と出会うまでの「準備」だと思う。

 

「幸せになる」という大きな目標とそのための「準備」。言葉はそのための「方法」のひとつ。

言葉の使い方にしても、「誹謗中傷は良くない」とネガティヴに描かれていたから、視聴者も「SNSでは言葉に気をつけよう」というように捉えてしまう人が少なくないだろうと予想してしまう。

でも、もう一歩考えれば、

「どうやったら言葉で自分や周りの人を楽しませ、幸せにできるのか」

という命題に行き着ける。このことこそ、日常を生きる自分たちが真に考えなければならないことであり、柊先生が伝えたかったことではないのかと思う。

 

これからを生きる自分にとって、当たり前だけど大切なことを考えさせてくれるきっかけになったドラマだった。